失敗しないロボットSIerの選び方[Vol.4]
ロボットシステムの運用・保守・教育について
もう少し話したい!
Robot Column Vol.4 ― Operation, Maintenance, and Training for Robot Systems
人手不足を解消したい
生産性を上げたい
省人化を進めたい
ロボットの導入には興味はあるけど、何から始めたらよいのか
そのような悩みを抱えている経営者、工場長様は多いのではないでしょうか。
でも、そんな方でも心配はいりません。
このコラムを読んでいただければ、ロボットシステム導入検討から導入後の運用まで、必要最低限の知識がおわかりいただけます。

過去3回でロボットシステムインテグレータを選ぶ基準や、導入までの手順をお話ししてきました。
前回の「ステップ5 運用・教育・保守」項目は、まだ知っていただきたいことが多いため、今回おまけの回として「ロボットシステムの運用」についてさらにお話させていただきます。
安全と継続稼働のためにOperation, Training & Support
「ロボット導入の本当のスタートは、稼働を開始してからです。」と前回お話しました。
ロボットシステムの安定稼働を維持するためには、日常点検や定期保守に加え、運用担当者の教育が欠かせません。
特に産業用ロボットは人と同じ空間で動作することが多く、安全確保のための正しい知識と技能が求められます。

基本的な安全点検をルーティーン化
日常の運用では、停止スイッチや非常停止回路の確認、可動範囲の清掃、配線の損傷チェックなど、基本的な安全点検をルーティーン化することが大切です。
これを怠ると、センサー誤作動や干渉事故など、思わぬトラブルを招くことがあります。
また、異常時の対応手順を明確にしておくことで、現場の混乱を防ぎ、被害を最小限に抑えることができます。
ロボットのティーチング(教示)
運用教育で重要なのが「ティーチング(教示)」と呼ばれるロボット動作のプログラミングです。
以前は専門技術者だけが扱える領域でしたが、近年はGUI(グラフィカル操作画面)や教示支援機能の進化により、現場担当者でも扱いやすい環境が整いつつあります。
ロボット導入時にはSIerが初期ティーチングを行いますが、ワーク形状や作業内容が少し変わった場合には、自社で再ティーチングできることが理想です。
そのためには、意欲ある若手社員やリーダーを中心に、メーカーやSIerが実施する講習会・安全教育プログラムに積極的に参加させ、継続的にスキルを高めることが重要です。
こうした取り組みが、自社のロボットを“動かせる人材資産”へと変えていきます。

産業用ロボットを扱う際には、労働安全衛生法および厚生労働省のガイドラインを遵守する必要があります。
特に「教示・検査等の作業」では、ロボットの電源を入れたまま作業者が可動範囲内に入るため、危険性が高いとされています。
このため、法律では「教示等の業務に従事する者」に対し、安全に関する特別教育(いわゆる“ロボット特別教育”)の受講が義務付けられています。
教育では、ロボットの構造・作動原理、危険要因、緊急停止操作などが体系的に学べます。
この知識は、現場での安全確保だけでなく、作業効率や設備寿命の延伸にもつながります。
労働安全衛生規則 第36条31(教示等の業務に係る特別教育)
「事業者は、産業用ロボットを用いて教示、検査等の作業を行う労働者に対し、当該業務に関する特別の教育を行わなければならない。」
ロボットの教示及び検査等の業務はマニピュレータの可動領域内で動力源を切らないで行うこともあり、危険を伴う作業となります。これらの業務を実施する専任者は労働安全衛生規則で特別教育実施(教示等又は検査等の業務の2コース)が義務づけられています。また、可動範囲内の上記専任者と共同で作業する可動範囲外の作業者も特別教育が必要です。
特別教育は、労働者の安全・衛生のために行うものです。法律では、「労働安全衛生法」の第59条第3項(厚生労働省)で定められています。
保守・点検の契約
また、導入後の保守・点検契約も重要です。
ロボットは稼働時間や環境条件によって摩耗や精度低下が起こるため、定期的なキャリブレーションやセンサー交換を行うことで長期安定稼働が実現します。
近年では、クラウド監視システムによる遠隔モニタリングや予知保全も一般化しており、異常を早期に検知できる体制づくりが進んでいます。
おわりに
ロボットシステムは、導入して終わりではありません。
教育・保守・安全管理という地道な運用サイクルこそが、投資価値を最大化させるカギです。
そして何よりも、「現場の人が理解し、安全に扱えること」こそが、持続的な自動化の第一歩です。

